試乗記: マクラーレンGT スーパースポーツカーと快適性の両立とはいかなるものか(後編)

スポーツカー試乗記

このクルマ、なんと620馬力もあります。モデナのざっと1.5倍。車重もそんなに重くない。こんなのにDCTを合わせて、トラックモードでべた踏みすれば、そのパワー(トルク)がさく裂!

あれ?620馬力?

いや、速いですよ。十分速いですよ。実測したら絶対モデナより上だと思うんですが、なんだろう、そこまで 速さを感じない

ターボといえど、回せばパワーが出るタイプで、最大トルクも6000rpm付近で発生するので、一瞬で吹け上がり、ちゃんと一気に回るんですが、どうしても600馬力もあるようには思えない。

なんか、なんだろう、6,000回転で一気に400馬力。って印象なんですよね。

モデナの方が(怖い分含め)体感速度は速いです。

ただ、スピードは凄く上がる。間違いなく速い。

それだけ スタビリティが良い ということでしょう。

特に雨の日でも恐怖を感じないのは圧巻です。

あるいは、まったく空転することもなくトラクションも凄いかかるんで、もしかしたら電子制御が効いて、意図的にパワーを絞ってるのかな?と思います。

で、吹け上がる際の音も、ターボの回る音が非常に心地いいんですが、

排気音は、フェラーリとは比べべくもありません。

どちらかというと印象はアメリカ車。ヨーロッパのスポーツカーというより、ちょっと昔のコルベットを思い出す、ゴロゴロした感じの音です。

まあ、ゴロゴロは音の話で、ゴロゴロしたフィーリングや振動は無く、きれいに吹け上がります。

で、きれいに振動なく吹け上がるエンジンを休め、

アイドリングになると、すごい振動が来ます。

これは、マクラーレンの4L全般ですが、アイドリング時の振動は、20年前のモデナと同レベルです。

スポーツに全振りならそれでもいいでしょうが、GTというには厳しい。

走っている時からの落差が大きいので、余計目立ちます。

そこはメーカーも良くご存じのようで、コンフォートだとアイドリングストップがかかります。

私はアイドリングストップ反対派ですが、このクルマには必須でしょう。

アイドリングを止め、走りだしたら快適性抜群です。

音が良くないと言いましたが、逆に言えば静か。ゴロゴロ音も踏まなければほとんど聞こえません。

まさにGT、遮音性抜群、ロードノイズも風切り音も非常に小さいです。

ボディは超剛性(と思う)で、ミシリとも言いません。

が、故に、ガラスや内装の微妙なギシギシ音が非常に気になる。

何なら、シートとシートベルトが擦れる音も非常に耳障り(ここは位置を調整すれば直りそうですが)。

特に3,000回転くらいで、微妙にリアガラス付近と共振するトコロがあり、凄く気になります。

静粛性を詰めるなら、高級サルーン並みにしないと、静か故に損をする。という感じでしょうか。

ちょっと窓を開けると、風の音で微音はあまり気にならなくなります。

そして、快適に走れます。

うん、快適です。

快適。

眠くなってきた。

ATモードでのんびり走ってると、スポーツカーらしさが全く無いです。

これを快適性というならその通りで、GTというなら狙い通りなのですが、面白味には欠けます。

内装に演出が無いのも、拍車を掛けています。メーターは平らなLCDで真ん中に小さいタコメーカーが1個。5連メーターとか、ブースト計とかもないんで、余計そう感じます。

かといってラグジュアリーにも振ってないんで、GTとして考えると、木目の一つもない、この狭いコクピット感もどうなんでしょうか。

シートの裏にも余裕はないので、シートを倒して寝ることもできなさそうです。まあ、好みの問題ですね。

さて、快適さに体を委ね、これまた非常にすばらしいアクセルコントロール性を使いながら、高速道路で前のクルマについて行きます。

が、ちょっと走ると腰が非常に痛くなりました

シートはたぶん選べるんでしょうが、このシートは硬すぎ。GTには向かない。

ついでに言うと、非常にクルマが小さく感じられ、意外にもクルクル旋回するので、ワインディングを高速で攻められます。

が、実際は2mオーバーの車幅 です。

だぶんキャッツアイに乗り上げたりします。うっかり狭い道に入って何気なく走ると、フェンダーとか擦ったりしそうです。

一見車両間隔がすぐ掴めたように感じますが、たぶんそれより一回りデカいと思っておいた方がいいです。

幸い後ろはバックモニターがあるので、気を付ければ問題ありません。

最後にもう一点言うと、リアにラゲッジがあるという事は、エンジンが見えない!

外観で唯一スーパーさに欠ける点です。

ごめんなさい、何か悪口みたいになってきたんで、もう止めておきます。

と、ここまで書いてきたとおり、すべて長所の裏返しが短所になっています。

そう、これこそまさにGT。

スーパースポーツと快適超高級車の融合

とは、どっちつかずになってしまう可能性を秘めているということでしょう。

モデナのコンセプトも、当時はGTに近いものだったのではないかと思います。

が、そもそも粗野で乱暴なので、完全にスポーツカーとして楽しめます。

ただ、そこにカッコイイ室内、広いラゲッジとキャビンを詰め込んでるんで、十分GTとしても使えます。もちろん、「快適超高級車」の要素はないですが。。

途中から悪口のようになってしまいましたが、再度言います。

カッコと足回り、ボディ剛性は最高です!

これを求める方は、買いです。

ただし、マクラーレン全般、リセールは悪いので、お金持ちに限ります(か、値段が落ちた後に中古車で買う!どれだけ壊れるのかは知らないけど。)。

なお、買う際は、シートの選択は良く考えてください。

で、さらに刺激と快適性が欲しいお金持ちの方は、スーパースポーツ(フェラーリ)と、快適超高級車(ロールスロイス)を買って下さい。

と言うわけで、総合評価

★★★★

いろいろ気になるとこもあるけど、やっぱり凄くカッコいいので、★4で。

試乗記: マクラーレンGT スーパースポーツカーと快適性の両立とはいかなるものか(前編)
どこから見ても超が付くスーパーカー、マクラーレンのGTです。今回は、少し長期で乗れる機会がありましたので、詳しめにインプレッションさせていただきます。
360モデナの快適性
現代の最新技術で作られた、超快適クルージングマシンから、モデナに乗り換えた時の、以外な快適性についての感想をお伝えします。

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